カッコよく！

  

昨日名刺ケースを買った。ずっとおしゃれな名刺ケースがほしくてさがしてた。

いろいろ見てみたがこれといった物にめぐり合えなかった。

さがし疲れて最後に入ったお店でブルーのレザーのケースを見つけた。

なかなかデザインも良かったのでそれにきめた。

探し疲れて帰宅。

さむさでかじかんだ手をヒーターであたためた。

少したって彼が帰宅。

寒いね・・。

ほんと寒いね・・。

今日ね名刺入れ買ったの・・。

ほんとに？

気が合うね。

俺も・・。

彼がポケットから無造作に袋を取り出した。

はい、これ。プレゼント。そんなにいいのじゃないよ・・。

開けてみて。

なんだかうれしくてうれしくて急いで袋を開けた。

きれいなリボンが付いたきれいな包み紙を丁寧に開けた。

シルバーにオレンジのレザーの細工がしてあるステキな名刺入れがでてきた。

ありがとね・・。

私こっちを使う。

こんなのがほしかったの・・。

ほんとうにそうだった。

彼はなんでも知っている。私の事を。私の心も。

私の喜ぶ事も。私の悲しむ事も。

結局今日も彼が私がほしい一番の物を見つけてきてくれた。

いそいで名刺を入れてみた。

もう入らないっていうくらい。

彼が笑って見ている。

ありがとう。

うれしくて、せつなくて、涙がこぼれた・・。  

私が一番大切にしている仕事道具。

技術者として一番尊敬している彼からのプレゼント。

彼が使っているものを技術とともに伝授された。

このＳＣＩＳＳＯＲＳにはいろんな思いと歴史がつまっている。

彼は私には無いテクニックをたくさん持っていた。

そして私も彼には無いものも持っていた。

厳しかった。

彼はテクニックにかんしては妥協はない。

パートナーでもそれは別。

バトルもした。私のテクニックに彼が一歩下がる事もあった。

切磋琢磨。

悔し涙も流した。

パートナーで一番負けたくないライバル。

そして一番尊敬する人。

これから何年何十年たってもこの気持ちだけは変わらない。

そして、この「はさみ」は大事にしていく。

どんなにスタイリッシュでキレイなはさみがあっても

この「はさみ」にはかなわない。

ずっとこの「はさみ」で誰かをキレイにしていきたい。  

昨日、新しいメイクブラシをそろえた。

新しい仕事道具はいつもウキウキする。

でもいつもの道具もカワイイ。

わけへだてなく使いたい。

私の好きな紅色のブラシ。

またいちだんと仕事に気合が入る。

早く「キレイ」をつくりたい。  

私がずっと使い続けている相棒たち。
特にロングシザーは大事にしている。

ストレートのロングヘアをスパッと切る瞬間はたまらない・・。
ロングシザーは刃先が長い分ブレずにストレートラインが切れる。

私はボブスタイルが得意だ。得意というより好き・・。
ボブにもいくつかのスタイルがある。

ストレートのラインをきっちりだしたストレートボブ。
少し軽さと丸みを出したエアリーマロン・。
段差と毛先に遊びをつけたグラデーション。

いろんな毛質や流れる方向があるから誰もがパーフェクトにいくとは
かぎらないが基本のデザインにアレンジをプラスしてスタイリング。

仕上がったとき、満足してもらえた瞬間はほんとにうれしい・・・。
鏡に映る変化した自分をみる「女」は皆美しい・・・。
（注）あえて「女性」と書くのをやめました。

以前お客様にもうすぐ９０歳になられるというとても素敵な
お客様がいました。残念ながら亡くなられてしまいましたが、
その昔女性記者のはしりだったとか・・・。

白髪のベリーショート、深紅の口紅に合わせた紅のマニキュア。
冬はハーフコートにレザーパンツ。
夏は、つばの大きい帽子にドット柄のサマードレスサンダルになんと
ペディキュアまで・・・！映画から出てきたみたいだった・・・。

彼女がいつも、笑いながら言ってたのは「老いて汚くなってしまうのは一瞬よ」
「いくつになっても女だからね・・。」
ほんとに素敵な人でした・・・。

私の道具・・いえ、相棒たちにはこんな素敵な思い出がいくつも詰まっている・・・。