
2011年03月31日
祖父のカメラ

私には95歳になる祖父がいる。今、区画整理のため70年住み続けた家を壊す事になった。祖父は大阪と浜松で繊維の仕事をしていた。祖父の家は織物を織る工場と住居、その頃集団就職で働きに来てるお姉さん達の寮があった。私が遊びに祖父の所に行くと工場のはた織機の音と機械油のにおいがしていた。いつもお姉さん達が忙しく働いていてそのすがたを工場に見に行くと亡くなった祖母によく叱られた事を思いだします。そんな思いでの場所が無くなるのは本当にさみしいです。母や祖父はもっとさみしいと思う。引っ越しの日祖父は自分が持てる最小限の荷物を運び出した。その中に古いカメラがあった。他はいいの?と母が聞くともう持ってけないよと…。そのカメラは祖母や子供達、工場、祖父の長い歴史をとり続けてきたのだろう。祖父に1番多く撮ったのは何?とたずねると「おばぁちゃま」。と。祖母を1番と言い放った!祖父は祖母をそれはそれは愛していた。大正生まれの祖父はなかなか威張っていた。私達には優しかったが母や祖母には…。でもいつも祖母の事を心配
していた。いつも祖母をそばにおいていた。その祖母が亡くなった時の祖父の顔を今でも忘れられない。その最愛の祖母をとり続けた思い出のカメラを大事そうに抱えていた。そのカメラを抱えた祖父の姿に携帯を向けた。キョトンとしてる祖父に「写真とるのよ」と言うと「今は便利だね…電話とカメラが同じなんだから」祖父が笑う。元気な祖父が電話の中のカメラにおさまった。★アンナ★
Posted by アンナ at 10:25│Comments(1)
この記事へのコメント
安くて使い捨ての物が主流になって、自分自身もその波に乗っかってるけど・・・
思い出しました。手間ひまかけて作られたいい物、値段は当然張るけど、だからこそすご~く考えて、で、手に入れたら大事に大事に使うことの幸せ感。
簡単に物が手に入るとどんどん物が増えていってなんだか充実感を感じた気がしてしまうけど、実は心の余裕はどんどんなくなってて、気が付いたら毎日物の片付けに追われてたりするし・・・・・自分の周り見直してみようと思います。
アンナさん、きっかけくれてありがとう♥
思い出しました。手間ひまかけて作られたいい物、値段は当然張るけど、だからこそすご~く考えて、で、手に入れたら大事に大事に使うことの幸せ感。
簡単に物が手に入るとどんどん物が増えていってなんだか充実感を感じた気がしてしまうけど、実は心の余裕はどんどんなくなってて、気が付いたら毎日物の片付けに追われてたりするし・・・・・自分の周り見直してみようと思います。
アンナさん、きっかけくれてありがとう♥
Posted by ぺー at 2011年04月03日 11:48